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【新型コロナ問題③】中国へのツアーも全面中止。旅行会社の潜在体力が問われる



年々、個人旅行者は増えているものの、年配者の旅や家族旅行、社員旅行ではツアーが効率的で便利だということもあり、台湾の各旅行会社はツアー造成に日々取り組んでいた。台湾人の渡航先の中心はアジア圏だ。近年、日本が独走中だが、中国・香港の人気も高い。


台湾人の主な渡航先の推移


だが、新型コロナウイルスの発生を受け、台湾の人々は旅行への意欲が減退。イタリア航空当局による台湾籍の航空会社の乗り入れ禁止措置もあり、中国のみならずツアーのキャンセルが相次いでいる。イタリアへはチャイナエアラインが2016年12月にローマへの直行便を就航。エバー航空も2020年2月中旬にミラノ直行便を就航予定で、台湾からの観光客増加が期待されているところだった。


台湾旅行業界誌「TTN旅報」の台湾の旅行会社への取材によると、各社はこの状況を重く受け止めながらも、旅行客の気持ちと権利を最優先し、また社員に対しても無給休暇にならないように心を砕き、事態が収束した先を見据えて行動していた。



東南旅行社

中国ツアーをキャンセルした6割の旅行者は、ツアー先を西ヨーロッパへ変更


1月25日~3月の中国のツアーをすべてキャンセルし、パスポートやビザ取得代行の料金以外は無条件で全額返金する。


もし旅行者が他のツアーへの変更を希望した場合、短距離線(日本、韓国、東南アジア)は500元(約1800円)、長距離線(アメリカ、カナダ、ニュージーランド、オーストラリア、ヨーロッパ)には1000元(約3600円)の割引を提供する。そして、イタリア政府による中国、香港、台湾の就航禁止の通達を受け、イタリアを含むツアーに参加予定だった旅行客には2000~3000元(約7200円~1万800円)の割引で他ツアーを提供する。


現時点では、中国のツアーにおける全額返金対応が約4割。そのなかでもインセンティブツアー(社員旅行)が主となっている。そして、それ以外の6割の旅行者は他国へのツアーに変更している。バリ、グアムのミニツアーへの問い合わせ率が高く、イギリス、オランダ、ベルギー、フランスなどの西ヨーロッパはちょうど冬のオフシーズンで価格が割安なため、旅行者の変更先としての希望も高い。



澄果旅行社

旅行者も旅行会社も全員被害者。中東でも新規ツアーの予約はほとんどなし


澄果旅行社の李英明社長によると、澄果旅行社はヨーロッパ、中東へのツアーを主としているが、新型コロナウイルスの発生以来、多くの旅行者が混乱し、予約キャンセルについて連絡してくるという状況だ。ほとんどの旅行者は、「中東には新型コロナウイルスの影響はない」と説明すると落ち着くものの、新規の予約がほとんどない状態に陥っている。このような予想外の災難に対し、うまく対応ができていないという。


衛生福利部が新しい規定を随時作ってゆくため状況が混乱しているので、旅行者自らがキャンセルを求めた場合、本来なら返金しないケースでも払い戻しに対応する。もはや全員が被害者だと考えているという。


社内のマンパワーが不足しているため、現在は社員の出勤などの調整については検討していない。しかし、今回の状況はSARSと違い、労働基準法によって簡単に無給休暇や半給にしてはいけない。会社として社員に配慮して向き合う姿勢だ。



ライオングループ

キャンセルは5400人に達する。騒動が収束した後の反動を見越して、今は人力を貯める


雄獅旅行社を含むライオングループは、催行予定であった中国ツアーを2月29日まで停止している。これにより270を超えるツアー、約5400人分がキャンセルとなった。3月以降に関しては、2月中旬の状況によって対応を判断する。会社の方針が定まる前に旅行者がキャンセルを希望した場合、旅行契約に基づきキャンセル料を徴収する。


上半期の中国線についてはすでにお手上げだと予測しているが、これを機に台湾-中国の就航路線を改めて整理して配分するつもりだ。


もしこの状況が長引くなら、社員の労働時間を減らすことは避けられない。今は人々は外出を控えているが、騒動が収束したあとにはその反動は大きく、旅行意欲が増幅する可能性が高い。そのために、人力も貯めておく必要がある。



喜鴻旅行社

ベトナムがツアーの変更先として人気。トルコツアーは割引金額最高額で穴場


旅行者の安全確保のため、4月30日までの中国へのツアーをすべてキャンセルした。パスポートやビザ取得代行の料金以外は全額返金する。2~4月で影響を受ける旅行者数は1万人を超えると予測している。


他の路線は行政院が定めた国外旅行定型化契約範本に基づき処理する。今回の状況の対応として、ツアー先の変更の際に割引サービスを提供。長距離線はひとり1500元(約5000円)、短距離線はひとり1000元(約3600円)、フリープランはひとり500元(1800円)の割引となる。


ベトナムは飛行機の座席が充分確保され、旅行地としても人気があり、多くの旅行者の変更先の候補地となっている。長距離線では、トルコツアーを3000元(1万800円)の割引で提供しているので、今回のツアー変更におけるダークホースといえる。



五福旅行社

中国から帰国したガイドは14日の自宅待機。職場の士気の維持に努める


五福旅行社の謝宏明CEOは、防疫対策を強化するほか、社員の教育や商品の品質向上などを実行し、事態が終息した後には再び全力で走り出すと述べた。現在は無給休暇は検討しておらず、社員が安心して会社に出勤できるよう、職場の士気に影響を及ぼすことは避けるという。会社は必ず政府の防疫対策に協力し、感染の拡大を阻止するという。直近で中国から帰国するガイドには、自宅で14日の自主管理したあと会社に戻るよう要求した。


公式ホームページでは3月31日まで、すべての中国ツアーをキャンセルすると告知。ツアー代金は全額返金する。



山富旅行社

中国線の担当社員はキャンセルや変更の処理のほか、来シーズンの準備も


3月28日までの中国ツアーのキャンセルを決定。もしほかの国へのツアーに変更することを受け入れるなら、ひとり500元~1000元(約1800~3600円)の割引で提供する。


現在、中国線を担当している社員はキャンセルや変更などの処理に関わっているため、ほかの地域の部署に異動するかは検討中。現時点では今まで通り中国線の担当を続け、商品、行程などを整理し、次の旅行シーズンに向かって準備する。


中国以外のツアーでは、日々報道される新型コロナウイルスに関する大量のニュースが消費者の出国意欲に影響を及ぼしている。旅行者による散発的なキャンセルが発生し、かなり先に開催予定のツアーがキャンセルされたケースもある。まだ様子を見ていく必要がある。



原得旅行社

短期内に状況は収束すると信じる。あきらめることなく、今は心身を整える


高雄の原得旅行社の汪聖憲社長は、この現状は流れ弾を受けたようなものだと嘆く。短期間で事態が収束すると信じ、旅行者はパニックになる必要がないと考えている。旅行会社は消費者に新型コロナウイルスが旅行に及ぼす正しい情報を伝える責任があり、消費者の旅行への意欲を取り戻す。不安感からツアーのキャンセルを申し出た旅行者もいるが、説明を受けてキャンセルを見合わせたケースもある。


春節期間に休息して心身を整えた社員たちは、現在も時間を持て余すことはなく、旅行客からのさまざまなリクエストを受け入れて、4、5月の旅行日程を企画している。



活力旅行社

ベトナムツアー参加者は3分の2に。心理的パニックは東南アジアにも及ぶ


台中の活力旅行社の吳進昆社長は、新型コロナウイルスの主な被災地が中国だが、心理的なパニックは東南アジアにまで広がっているという。


ベトナムツアーにも、すでに一部のキャンセルが出ており、4、5月まで影響を及ぼしている。ベトナムツアーの本数は3分の1減少したと推計し、ほかにマレーシアのツアーも損失がある。


社員を安心して出勤させるため、営業は今まで通り続け、直近では無給休暇の対応は予定していない。



鳳凰国際旅行社

損害は1億円以上。中国線以外では、基本的にツアーは催行する予定


社内の緊急対処の手順によって「新型コロナウイルスの防疫指揮チーム」を成立。ウイルスの発生状況に注目し、世界各地の感染状況と政府が公告した規定の把握に努める。


中国のツアーは2月29日まで一時停止と、すでに中国へ出発していた旅行客は、全員の同意のもと、前倒しで台湾に帰国させた。


2月29日までのツアーのキャンセルは計50件、計約760人。これにより約2850万元(約1億500万円)の影響を与えると推定しており、会社の財務への影響は少なくない。中国のツアーをキャンセルする場合はパスポートやビザ取得代行料金以外は全額返金し、旅行者のツアーの変更や出発日の延期にも積極的に協力する。中国線以外、現在はロシア航空の欠便の影響で2月26日に出発するツアーがキャンセルされた以外、ほかのツアーは変更なし。


社内においては衛生教育を強化するほか、安全防護対策も引き上げ、社員の感染リスクを下げる。


このような非常事態において、旅行会社には悲観する権利はないと、社として考えているという。現時点では、旅行代金の値下げをしたとしても、心理的な面から購入者は少ないので戦略として成り立たない。そこで社員の訓練、企画の修正、組織の戦力維持、長期計画の立案に力を入れる方針だ。感染が収束した後に市場で巻き返すための力を蓄えようと奮闘している。



可樂旅行社

イタリアツアーは外国籍航空会社の利用で調整して決行予定


中国線のツアーに対する規範を以下のように更新した。


  1. 3月31日前にすべての中国線のツアーをキャンセル。対象の旅行者はパスポートやビザ取得代行料金以外を全額返金する

  2. もしツアーの行き先を変更する場合、短距離線に500元(約1800円)、長距離線に1000元(約3600円)の割引を提供する

  3. 4月1日以降に出発するツアーは政府の公告に合わせ、消費者の権益をもとに考量、また決議する


春節(1月25日)前までは、これから参加予定であった中国ツアーから他国へ変更する人が大半であったが、春節後(1月30日)は旅行自体を取りやめるキャンセル希望者が多い。2月末までに中国線のツアーは、フリープランを含め約1万人の旅行者が影響を受けると予想され、損失は2億5000万元(約9億2000万円)の見込み。


また、イタリアへの台湾の航空会社の乗り入れ禁止によって、まだ出発していないイタリアのツアーに対し、他の外国籍の航空会社(例:トルコ航空など)に振り分ける方向で調整している。そのため旅行者のスケジュールに変更はない。もし旅行者がキャンセルを選ぶなら、行政院の国外旅行定型化契約範本の規定に基づき処理する。



愛旅遊/西南旅行社

現状を打破するために、インドシナ半島へのツアーに注力する


劉裕鴻副社長によると、2月29日までのすべての中国線のツアーをキャンセルした。旅行者はパスポートやビザ取得代行の料金以外、全額返金する。もし旅行者が他地域へのツアーに変更、もしくは延期を望んだ場合、妥当なツアー料金を還元する。しかし現時点では、中国へ向かう旅行者のほとんどがキャンセルを選択している。3月1日以降のツアーも政府の指示に従うため、もしさらに中国線のツアーの禁止状態が続くなら、2月29日前の払い戻しの条件と同じ対応をする。


中国で乗り継ぎ、目的地がヨーロッパのツアーは、他国籍の航空会社に協力を仰いでいる。


現時点では、まずインドシナ半島へのツアーに力を入れている。しかし、ウイルスの影響によって、人々は飛行機に乗ることや人が集まる旅行地に行くことに躊躇しており、たとえキャンペーンがあっても、売り上げがのびるとは限らないと懸念される。


文:TTN TEAM、翻訳·編集:JTアライアンス・インバウンド大学@台湾編集部

【TTN旅報1128/1129期, 2020/2/10発行, P14-17】


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