- shikiko7
【2019年1~6月】台湾人の海外渡航先トップ10

交通部観光局が発表した「2019年1~6月の中華民国国民出国延べ人数および伸び率」によると、2019年上半期における台湾人海外渡航者数は延べ861万4,204人で、昨年同期比2.63%増だった。渡航先首位は日本で、中国、香港と続き、渡航者数の増加幅ではフィリピン、ベトナムおよびタイがトップ3となった。ニュージーランドへの渡航者数は、ニュージーランド航空の安定運航を背景に47.08%増となり、長距離路線では最も目を引く結果となった。
フィリピン、ベトナム、タイが大幅増 伸び率上位3位に
渡航先上位10か国・地域に大きな変動はなかったものの、フィリピンがマレーシアを抜きトップ10入りを果たした。フィリピン、ベトナム、タイへの渡航者数の増加幅は昨年同期比で約3割に達し、特にフィリピンは渡航先トップ10の中でも最大の30.60%増となった。
フィリピンが伸びた理由として、昨年観光客の受け入れが再開されたボラカイ島へ、ファーイースタン航空、タイガーエア台湾、エアアジアなど航空各社が、チャーター便や直行便を相次いで就航させたことが挙げられる。また、タイガーエア台湾は6月7日に業界唯一のパラワン便を就航した。下半期には、エバー航空セブ便の機体大型化、およびエアアジアによるセブ、クラークへの高雄発2路線の就航が予定され、フィリピン市場への期待が高まっている。
ベトナムも27.81%増と躍進を遂げた。6月18日にはバンブーエアウェイズの台北―ダナン便が就航、同国への観光市場は隆盛を迎えている。下半期にはダナン便が7割増便するため、今後も旅行者数の増加は確実とみられる。
伸び率21.96%増のタイは、アライバルビザ無料措置が2020年4月末まで延長となった。また、エバー航空も7月20日からチェンマイ便の機体大型化を発表している。
韓国へのクルーズ客が倍増 ニュージーランド直行便は5割増
香港、韓国およびシンガポールは、前年同期比でそれぞれ14.18%、8.21%および7.91%増加した。韓国では、直行便増便の結果、台湾からの定期便の就航地が済州(チェジュ)、大邱(テグ)、務安(ムアン)、清州(チョンジュ)など7空港となり、いずれも利用者数が顕著な伸びを見せている。このほか、クルーズ船での訪韓客数も昨年の7千人余りから1万8千人余りまで増加している。また、韓国観光公社が6月にLCC5社およびOTAと共同展開した優待キャンペーンにより、訪韓客はいっそうの増加を見せたとみられ、6月は単月で9.25%増となっている。
ニュージーランドは渡航先トップ10にこそ入らなかったものの、ニュージーランド航空の安定運航を背景に、渡航者数は延べ1万6,541人、47.08%増となった。同航空では南半球が観光シーズンに入る10月末に台湾からの路線で増便を予定しており、同国への観光は熱を帯びそうだ。
米国4.88%減 エバー航空ストライキによる減便が影響
渡航先トップ10のうち、渡航者数が減少したのは日本、中国、マカオおよび米国で、そのうち減少幅は米国の4.88%が最大だった。6月に行われたエバー航空のストライキによる欧州、米国、豪州などへの長距離路線の大量運休が要因と見られる。
渡航先のトップ2は日本および中国だったが、それぞれ1.05%および1.87%の微減となった。日本の場合、上半期で減少が見られたのは4月(14.2%減)のみであり、例年花見客でにぎわう4月に客足が伸びなかった理由は、東南アジアへの増便、欧州フラワーシーズンのキャンペーンなど、複数の要因による旅行客の分散であると旅行業界では考えられている。日本では10月に消費税の10%への増税が控えており、市場への影響に注目が集まっている。
中国への渡航者数は1.87%減となったが、下半期には中国からの自由旅行の禁止、ツアー数の削減を受けて、航空会社も機体の小型化または減便を実施する。香港への上半期渡航者数は14.18%増だったが、香港デモの激化に伴い、台湾―香港路線が大幅な減便となることから、香港の代替として深セン、広州などへの需要が増大している。香港の動乱および不安定な中台情勢による、旅行客の渡航意欲への影響は必至だ。

文:TTN台湾、翻訳·編集:JTアライアンス・インバウンド大学編集部
【TTN旅報Vol.1107, 2019年9月9日発行 P14-15】