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  • shikiko7

訪日ツアーの達人が分析!2019年7月注目の訪日商品トップ3

7月に売れ行きが好調だった旅行商品について、ホールセラー大手8社への調査を敢行。その結果、全体的に北海道の洞爺湖や函館、沖縄周遊など“定番スポット”を巡るツアーの人気が、いまだ根強かった。


また、夏休みシーズンとあって東京ディズニーランドやUFJといったテーマパークをメインにした、親子旅行をターゲットとした商品の売れ行きも好調だ。


そんななか、定番とはひと味違う特色のある商品が、顔を見せていることも注目すべき点だろう。


各社売れ行き上位3件、計21商品を精査。台湾人誘致のための活路を拓く、特徴的な3つのツアーをピックアップした。大手旅行会社の日本線を長年担当していた「訪日ツアーの達人」S氏が、商品が造成された背景や業界の裏側を分析する。


∎ 注目商品トップ3


★雄獅旅行社:【USJ周辺ホテル確約】VIP専用通路でUSJ入場~京阪神三都・嵐山渡月橋・有馬温泉・阿倍野5日間(31,900台湾ドル~)


▲渡月橋


【商品内容詳細(行程、宿泊施設)】

利用航空会社:チャイナエアライン 利用空港:桃園国際空港/関西国際空港


◆旅行会社に聞いた、ここがポイント!◆

  • VIP専用通路を利用するので、並ばずUSJに入場できる

  • USJすぐそばのホテルを確約

  • 京都嵯峨野のトロッコ列車に乗車して、保津川の絶景を堪能


【達人による解説】


台湾ホールセラーの大手である雄獅旅行社では、夏休みシーズンの定番である北海道や東京ディズニーランドを含むツアーが人気です。そのなかで、このUSJをメインに据えるツアーも、親子旅行をターゲットにした定番といえます。


そんな定番内容のなか、注目すべきは「VIP専用通路で入場」を売りにしている点です。USJと直接契約をできる旅行会社は限られており、“超大手”である雄獅旅行社だからこそ実現できる特典なのです。


雄獅旅行社は各地のホテルとの提携数も多く、ブランド力もあります。そのため人気エリア、スポットのツアーを多く作ることができる、という強みを持っています。このツアーもまさに、そうした賜物でしょう。いっぽう、小規模な旅行会社はメジャーな観光地に食い込みづらく、そのため、定番地以外でのオリジナルツアーで勝負する傾向にあります。


▲2019年5月にデザインがリニューアルされた雄獅旅行社のウェブサイト。商品の在庫がタイムラグなしに反映されており、予約・購入がしやすくなっている



★百威旅行社:関西絶景5日間~天空の城(竹田城跡)・天橋立美山茅葺の里・伊根湾めぐり遊覧船・琵琶湖マリオット(31,800台湾ドル)


▲竹田城


【商品内容詳細(行程、宿泊施設)】


◆旅行会社に聞いた、ここがポイント!◆

  • 台湾ツアー市場では希少といえるスポット、兵庫県の天空の城(竹田城跡)へ

  • 1620円以上のクオリティの高いランチを用意

  • 舞鶴でかまぼこ作り体験

  • 温泉宿で2泊


【達人による解説】


これは、メジャー観光地以外での、オリジナルツアーの好例といえます。 “定番”の商品とは意図的にターゲット、訪問先を変えているのがわかります。琵琶湖、美山、舞鶴かまぼこ作り体験、伊根の舟屋、天橋立、竹田城跡、姫路城などがメインの訪問先となっており、日本の風景の美しさに特に興味がある中高年層を意識した内容です。


特に伊根、美山、そして日本三景のひとつである天橋立、竹田城跡等は、知る人ぞ知るスポットとして、ここ数年、台湾人のなかで、じわじわと人気を集めています。


夏休みシーズンにもかかわらず、この商品の売り上げがよいということは、“超大手”との差別化を図ろうとする旅行会社側の意図が、うまく功を奏しているといえるでしょう。


こうした挑戦的なツアーの好調さを見て、他社もその影響を受けた商品を作りはじめています。


▲百威旅行社のウェブサイトで掲載されている当該商品ページ。



★大栄旅行社:風を感じて沖縄ドライブ~入神の域 玉泉洞・プチギリシャ瀬長島・琉装体験4日間(16,900台湾ドル)


▲瀬長島ウミカジテラス


【商品内容詳細(行程、宿泊施設)】


◆旅行会社に聞いた、ここがポイント!◆

  • ターゲットは、親子旅行層と「小資族」

  • 美ら海水族館、万座毛、DINO恐竜PARK やんばる亜熱帯の森、おきなわワールド文化王国

  • 玉泉洞など、ターゲット層の好む場所をセレクト


【達人による解説】


まず注目すべきは、16,900台湾ドル(約6万円)というかなり安いツアー料金です。他社は同じ4日間でもだいたい9万円はしますので、破格といえます。


なぜこのような低価格なツアーが用意できるかというと、大栄旅行社は沖縄で設立された会社だからです。沖縄は地元ですので、高級ホテルからリーズナブルな宿まで、宿泊施設にも強いコネクションを持っています。また、大型バスを20台以上所有し、貸切バス事業も行うなど、交通が不便な沖縄での“足”も充実。沖縄観光に関しては抜きんでており、実際、他社のランドオペレーターとしても業務を行っているそうです。


実は、今年の沖縄線の販売は苦戦しています。数年前に、台湾では沖縄旅行がブームになりましたが、そのため今では「1度行ったことがある」人が増え、リピーターが少ないこと。にもかかわらず、飛行機の便数は多いということが、要因のひとつといえます。


FITも増えているので、その対抗策としても、この低価格ツアーを売り出しているのでしょう。それはターゲットに「小資族」を挙げていることからもうかがえます。「小資族」とは、「節約はするけれど、自分に必要なことには惜しまずお金を使う若い女性」を指す台湾のスラングです。2011年のテレビドラマ『小資女孩向前衝(日本タイトル:進め!キラメキ女子)』で描かれた女性像から、この言葉が一般的になりました。このツアーは、まさにそうした台湾の若者の気質を理解して組まれたのだと思われます。


▲大栄旅行社ウェブサイトの、当該商品を案内するページ



《達人、2019年上半期を振り返る》


実は、ここ10年ほど、日本ツアーのコース内容はほぼ変わっていません。7月には北海道・富良野のラベンダー畑、洞爺湖など見慣れた顔ぶれのなか、上記3商品は各社の特徴がよくあらわれている内容だといえます。


今年は、2月にチャイナエアラインが、6月にはエバー航空がエストライキを行い、消費者の旅行の予定が大幅に狂いました。また、大陸とアメリカとの関係から、景気も芳しくありません。さらに日本と同じく年金額削減の問題もあり、収入が落ち込んでいます。これらの影響を受け、台湾人は今、お金の使い方にシビアになっています。若年層は、まずは旅行を控える。もし旅行をするなら、ツアーではなくFITで、LCCを利用して、という傾向がより強くなり、上半期の旅行商品の売れ行きは、総体的には好調とは言えませんでした。


いっぽうで中高年層はまだ比較的裕福ですし、ツアーを好みますので、気候の良い秋に期待が持てそうです。


台湾人旅行者は刻々と指向が変化しています。それはツアー商品の傾向にも表れています。定番商品のなかに光るサインを、見逃さないでください。



「台湾各旅行会社の販売数上位商品(2019年7月)(PDF形式)」をご希望の方は、NEXT T.C.までお問い合わせください

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