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台湾における訪日クルーズ市場分析【2019年下半期~2020年上半期】

沖縄3~4日間行程が6割占めるも、商品の多様化に向け各社による尽力続く


▲台湾北部の基隆港に停泊する「スーパースター アクエリアス」


台湾では日本をデスティネーションとしたクルーズ旅行商品が増え続けており、寄港地や日数などの選択肢はますます多様化している。台湾のクルーズ市場は順調に拡大・成長を続けており、これを有望視したクルーズ会社大手らも続々と市場に参入、各社がしのぎを削っている状況だ。


2019年下半期~2020年上半期に台湾で発着予定のクルーズ客船


ゲンティンクルーズラインは台湾市場と共に歩んで25年

2019年は新たにラグジュアリーブランドのドリームクルーズを投入


▲台湾クルーズ市場で最大トン数の客船となるドリームクルーズの「ワールド ドリーム」


スタークルーズが台湾に初寄港した1994年から現在に至るまで、ゲンティンクルーズラインは25年間に渡り台湾市場に力を注いできた。これまでにも基隆、高雄、台中、台南、花蓮、澎湖、金門、馬祖といった台湾の主要港に寄港している。特にスタークルーズの「スーパースター アクエリアス」(約5万トン)は、2015年から基隆を母港に通年運航しているが、台湾に母港を定めて通年運航する方式のクルーズ客船は同船が初であり、現在のところも同船のみとなっている。台湾は現在、アジアで2番目に大きいクルーズ市場へと成長したが、同船もこれに大いに寄与したといえる。


今年、ゲンティンクルーズラインは事業規模をさらに拡大し、旅行客から人気が高いスタークルーズに続き、ハイエンドブランドであるドリームクルーズを台湾に初投入した。3月にはドリームクルーズの「エクスプローラー ドリーム」が基隆を母港として数回に渡り運航したが、続いて約15万トンの「ワールド ドリーム」も台湾に就航した。同船は高雄と基隆を母港とし、業界初となる「母港兼寄港地」という運営方式を採用、7月1日、7月8日及び8月26日出発の「沖縄と石垣島4日間の旅」を打ち出している。ちなみに同船は現在のところ、台湾に停泊する客船としては最大のトン数を誇っている。


乗船率が5年で10倍に成長したプリンセス・クルーズ

2020年には旗艦「マジェスティック・プリンセス」による桜観賞クルーズも


▲2020年ハイシーズンに台湾市場投入が決まった「マジェスティック・プリンセス」


2019年夏休みシーズンのプリンセス・クルーズは、「サン・プリンセス」(約7.7万トン)を主力に、3~5日間の沖縄・奄美大島路線の商品を打ち出している。また、2020年には「マジェスティック・プリンセス」(約14.4万トン)で行く桜観賞クルーズが予定されている。日本市場をターゲットにした「ダイヤモンド・プリンセス」(約11.5万トン)も、2~3月には基隆発着での限定運航を2回予定しているほか、春には飛行機でクルーズ発着地に向かう「フライ&クルーズ」方式の訪日桜観賞クルーズを企画している。


2014~2018年の5年間という短い間に、台湾におけるプリンセス・クルーズの運航便数は6.5倍に増え、乗船率に至っては10倍近くにまで達した。プリンセス・クルーズの商品はますます市場に浸透し、現在では台湾の旅行会社11社が独占代理販売をしている。2020年には「マジェスティック・プリンセス」が台湾に特別配備され、43回運航、計158日間の航程を予定しているが、ハイシーズン中ずっと、基隆港で「マジェスティック・プリンセス」を目にすることができるというのは、かなり画期的だと言えるだろう。


コスタクルーズの主力は、小ぶりの「コスタ ネオロマンチカ」

今年就航の「コスタ ベネチア」も、チャータークルーズで2020年春に登場


▲ コスタクルーズが台湾市場に主力クルーズとして投入している「コスタ ネオロマンチカ」


イタリアのクルーズ大手、コスタクルーズは2019年、「コスタ ネオロマンチカ」(約5.7万トン)を台湾に配備し、基隆を母港とした3~7日間の東アジア訪問商品を販売している。特徴として、3日間行程の商品では、散見される石垣島メインの行程ではなく、宮古島を訪問する行程を打ち出し、4日間商品では宮古島、沖縄本島、石垣島のうち、2か所を選んで訪れる内容だ。


5日間商品では上記3島すべてを訪れることができ、過去に他社クルーズを利用して沖縄を訪れたことのある旅行客に対しても、新鮮さをアピールする狙いがあるとみられる。同船の10月以降の商品ラインナップは、長崎と韓国・済州(チェジュ)もしくは長崎と韓国・麗水(ヨス)を訪れる6日間行程、九州、北陸、山陰山陽を周遊する6日間行程、そして韓国・釜山で一泊してから日本各地を回る7日間行程となっている。


そして2020年の花見シーズンには、今年就航したばかりの「コスタ ベネチア」(約13.5万トン)も台湾にやってくる。基隆を出発し韓国・釜山、京都・舞鶴、北陸・金沢、鳥取・境港に寄港する8日間のチャータークルーズだ。独占販売を行うのは雄獅旅行社で、日韓両国での桜観賞という点を強くアピールしている。


総合分析

各社の主力は短期商品

沖縄訪問3~4日間商品が全体の6割占める


2019年8月現在、台湾の各旅行会社が販売するクルーズ商品をみると、基隆を出発し石垣島や那覇に寄港する3~4日間の行程が“スタンダード”となっているようだ。日数が短く価格も安いことから、主力商品として販売されており、運航便数が最も多い。スタークルーズの「スーパースター アクエリアス」だけをみても、8~10月は19の出発日が設定されている。価格は11,900台湾ドルからで、親しみやすい価格が魅力だ。


プリンセス・クルーズが運航する総トン数7万トン超の「サン・プリンセス」も、同様の行程で8便を運航する。同船は上品かつ優美なイメージで消費者をひきつけており、定価は20,900台湾ドルからと、他社のクルーズ客船に比べて価格が最も高く設定されている。「コスタ ネオロマンチカ」も同様の行程を5回運航、14,900台湾ドルからという価格設定だ。市場全体では3~4日間行程の商品が台湾発着クルーズの6割ほどを占めており、各社共に主力商品として力を入れていることがわかる。


次に各社客船別にみてみると、「スーパースター アクエリアス」では、3~4日間の行程が9割を占めているのがわかる。一方、「コスタ ネオロマンチカ」では3~4日間行程が約4割と低めになっており、5~6日間行程が半数以上を占めている。「サン・プリンセス」では3~4日間行程が約6割で、5日間行程は約4割だが、ちなみに「マジェスティック・プリンセス」は6日間行程のみとなっている。


台湾市場のクルーズ商品 日数による便数比較

2019年下半期~2020年上半期


2020年春の「花見クルーズ」を先行販売

桜、クルーズ、日韓二か国訪問……組み合わせの新鮮さで市場に訴求


▲2020年3月末の桜観賞便が予定されている「コスタ ベネチア」


桜観賞ツアーは台湾市場に登場して以来、常に人気の旅行商品だ。プリンセス・クルーズ「マジェスティック・プリンセス」では、この夏からすでに2020年の訪日桜観賞商品3本の販売を開始している。3本共に基隆港発着の6日間行程で、寄港地には九州の福岡、熊本、長崎、そして韓国・釜山が選ばれている。「コスタ ベネチア」も3月末に基隆港発着の桜観賞便1便を運航、8日間の行程で釜山、舞鶴、金沢、境港に寄港、様々な桜の風情を楽しむという内容だ。


「日本でのお花見」というのは、台湾旅行市場においてのキラーコンテンツである。桜観賞ツアーが台湾で売り出されてからかなりの年月がたつが、いまだに人気が高く非常に息の長い商品だ。そうした状況の中、日韓両国でのお花見にクルーズを組み合わせた商品は、消費者からみると比較的新鮮に映っているようだ。また、桜の季節には航空券や宿泊場所の確保が難しく、どうしても高コストの旅行になりがちだ。しかし、クルーズ商品は航空券及び宿泊施設確保の問題を同時に解決することができるため、旅行商品を企画する旅行業者からも人気を集めている。


日本向け「ダイヤモンド・プリンセス」も台湾発着便を運航 「フライ&クルーズ」も市場での人気が徐々に上昇


日本を主力市場とする「ダイヤモンド・プリンセス」も、2020年には台湾発着の行程を2回予定している。9日間の行程で、基隆港を日本以外の地域におけるもう一つの母港と定め、台湾の旅行客は基隆を出発後、横浜、静岡、神戸、沖縄(那覇)の各所を訪れる。同船は日本市場をターゲットにしているため、台湾市場に割り当てられたのは約800席のみだが、9日間行程でありながら最低価格は44,900台湾ドルに設定され、すでにかなりの人気を集めているようだ。船内には日本式大浴場や日本料理レストランなどがあり、日本人の好みに合わせてつくられているが、これらは日本に興味を持つ台湾消費者にとっても魅力的な設備だ。同船はさらに日数の長い11日間の「フライ&クルーズ」商品も打ち出している。利用客はまず台北から空路で東京に向かい、横浜港で乗船した後、九州や四国をじっくりと満喫する内容となっている。


フライ&クルーズの流れ


「フライ&クルーズ」に関しては、まだ台北発着便のないMSCクルーズにも注目したい。台湾の業者は「MSCスプレンディダ」の販売をすでに開始している。この船はMSCクルーズのファンタジア・クラスに属し、最新テクノロジーと極上の快適さを兼ね備えたとする客船だ。6日間の商品はクルーズのみの予約となり、航空券は含まれない。横浜を出発した後、長崎、韓国・釜山、中国・天津を順に訪問、価格は約14,000台湾ドルからと設定されている。一方、9日間の商品は航空券込みの「フライ&クルーズ」商品となる。横浜で乗船し、山形・酒田港、金沢、釜山、鹿児島を周遊する内容で、価格は86,900台湾ドルから。ひと味違ったクルーズ商品で、台湾市場に新たな選択肢が増えたと言えるだろう。


▲台湾発着便のないMSCクルーズの「MSCスプレンディダ」。台湾市場では「フライ&クルーズ」商品が販売されている


新商品造成を通じてリピーター層に訴求

日数を伸ばした商品も増え、九州以北の寄港地も増加


アジアにおけるクルーズ市場は、年々競争が激化している。そのため、クルーズ会社は各市場の状況に合わせて常に新しい寄港地を開発し、新商品の造成を通じてリピーター客を引きつけようとしている。例えば、石垣島、那覇に寄港する商品は、台湾クルーズ市場初期からずっと販売されているが、その後、一部路線に宮古島が盛り込まれるようになった。さらには沖縄から近い鹿児島県の奄美大島が寄港地の仲間入りをするなど、市場に新風を吹き込むための試みが継続して行われている。


島をデスティネーションにした商品に続き、クルーズ会社は日数の長い商品も打ち出すようになってきた。その寄港地には、九州南部の鹿児島と宮崎、九州北部の長崎と博多、さらに足を延ばして韓国なども選ばれている。2020年には「マジェスティック・プリンセス」が熊本に、そして「ダイヤモンド・プリンセス」が横浜、静岡(清水港)、神戸、別府に寄港する。コスタクルーズの各客船が停泊する京都・舞鶴、金沢、鳥取・境港は、これまでの台湾市場では寄港地に選ばれることが稀だった港であり、全く新しいタイプの商品を開発することで、市場にさらなるクルーズブームをもたらそうという意図が見え隠れする。


台湾におけるクルーズ商品は、提携旅行会社による独占代理販売

旅行会社が独自に企画したチャータークルーズ運航も可能


他の市場と比較すると、台湾のクルーズ旅行市場は完全に開放されてはいない。消費者が直接クルーズ会社から商品購入をすることはできず、必ず旅行会社を通じての購入となる。各クルーズ会社もそれぞれに代理販売を行う旅行会社数社と独占提携している。


例を挙げると、ゲンティンクルーズラインのスタークルーズとドリームクルーズは、良友、永業、大登、新進、上順、捷利、統一の各旅行会社が代理販売を行っている。プリンセス・クルーズとコスタクルーズを担当する旅行会社は、百威、大興、五福、世邦、行家、易遊網、東南、雄獅、喜鴻、鳳凰、燦星だ。業者は各客船の運航スケジュール等に基づき、特定の日時でのチャーター便を要求することもできる。来年の桜シーズンに商機を見いだす雄獅旅行社は、処女航海を終えたのが記憶に新しい「コスタ ベネチア」を独占チャーターしているが、これもその一例であり、比較的特殊な販売形式だといえる。



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文:魏 苑玲(TTN台湾旅報)、翻訳·編集:JTアライアンス・インバウンド大学@台湾編集部

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