- shikiko7
2020年の台湾航空市場の動向を見る。その時日本は……?

2020年、台湾の航空市場は新たな航空会社の加入のほか、就航路線も増えて活況を極める。今年は東南アジア線の便数の増加が目立ち、それに伴い旅行人数も大幅に成長すると予想。これでさらに旅行会社は大きなチャンスを手に入れることができるだろう。
一方、予測がつかないのは中台両岸の旅行市場だ。中国と台湾の緊張が解け、中国からの台湾への個人旅行が許されるだけでなく、さらに新しい就航路線を増設して便数を増やさないと、中台間の旅行市場は今まで以上に大幅に萎縮すると考えられる。
それでは、日本はどうだろう?東京オリンピック・パラリンピックを控えた日本と、台湾の航空市場の関係を展望する。
1. 東京オリンピック開催の影響を受け、日本の地方都市へのフライトが急増
東京オリンピックが7月24日~8月9日、パラリンピックが8月25日~9月6日に開催される。この期間は世界各地から大勢の人が観戦に訪れるため、現在、競技会場周辺ではホテルを確保するのが非常に困難だ。
さらに東京行きの航空券も驚くほど値上がりしている。関係者によれば、大会期間中、台湾発東京行きの団体航空券の言い値は46,000元(約17万円)を超え、異常なほどの高値となっている。そのため各旅行会社は、今年のお盆時期を含め大会終了までは どこも東京を避けるという。
一方で、大会終了後の東京ツアーには、多くの旅行会社が期待している。渋谷、池袋、浅草などのエリアが大規模に整備されるので、先鋭的な東京の新しい姿を見に訪れる旅行者がきっといるからだ。
東京以外の都市では、エバー航空が小松便、松山便を増便し、チャイナエアラインは1月16日から毎週木、日に高雄から香川県の高松へ直行チャーター便を飛ばす。またタイガーエア台湾も今年長崎への就航を予定している。オリンピック・パラリンピック開催中の東京を避けて、地方へ向かう旅行客を狙う。
2. 新潟空港初の国際線LCC、タイガーエア台湾の定期便が飛び立つ
タイガーエア台湾は3月30日に台北-新潟線の定期便を就航。これはタイガーエア台湾にとって日本での15都市目の就航路線となる。そして、新潟空港にとっては初めての国際線LCCである。
新潟を訪ねる外国人旅行者は年に40万人で、そのなかで台湾人観光客は8万人を占めている。タイガーエア台湾の桃園-新潟線は週2便(月、金)での運航予定で、チケットは山富旅行社が独占販売する。
新潟への就航により、新潟を起点として仙台、花巻、小松など周辺の空港と組み合わせることができるようになる。これよって旅行会社はスケジュールの選択肢が増え、ツアー内容の幅を広げることになるだろう。
3. スターラックス航空が運航開始。日本へは今年後半に就航予定
注目を集めている新生航空会社「スターラックス航空」が1月23日に運航を始める。まずはマカオ、ベトナムのダナン、マレーシアのペナンの3つの路線を就航する。 さらに民航局から、日本(桃園-沖縄、大阪、福岡、仙台、札幌、函館、名古屋、成田)、タイ(桃園-バンコク、チェンマイ、プーケット)、ベトナム(桃園-ニャチャン、ハロン湾)などの定期便の許可もすでに得ている。
就航当初はエアバスA321neoを用いるが、2021年後半には広胴機であるエアバスA350 XWBの導入し、2022年に次々と北米、ヨーロッパなどの就航路線を開設していく予定だ。
台湾で人気の若手社長が手掛けた、優れたブランドイメージを持つスターラックス航空は、航空業界の金の卵になるだろう。
4. 日韓関係の悪化で韓国-台湾の便数・利用者数が増加中
韓国-台湾間の観光市場がここ数年伸びている。さらに今年は長く続く日韓関係の悪化を受け、日韓間の多くのフライトが台湾便への変更を計画している。
台湾の各航空会社は、新規就航や増便で韓台の観光市場を盛り上げている。現在台湾から韓国へ飛ぶフライトは、2019年末に運航を開始したLCC のフライ江原(カンウォン)も含め、韓国の各都市に及んでいる。国際空港のある韓国の都市(ソウル、仁川(インチョン)、済州(チェジュ)、釜山(プサン)、大邱(テグ)、務安(ムアン)、襄陽(ヤンヤン))すべてに台湾便が就航しているほか、台湾北部・中部・南部の各空港からも韓国便が飛び、運航路線はこれまでにないほど充実している。
2019年1~11月、韓国を訪れた旅行者は延べ112万2,115人で、年末の就航便、増便を加えると、2020年は延べ130万人突破を目標にできるだろう。さらに台湾と韓国の相互旅行者数も目標延べ300万人を達成できそうだ。
日韓関係の冷え込みは台湾と韓国の蜜月を長引かせ、それは日本旅行市場へも影響を及ぼすだろう。日本への就航便は確かに増えているが、まだ開拓をしていく必要がありそうだ。
文:TTN旅報、翻訳·編集:JTアライアンス・インバウンド大学@台湾編集部 【TTN旅報1124期, 2019/1/6 発行, P14-15】