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【第1回】ターゲット旅行者が現在見ている情報源を参考に、自社の訴求ポイントを固める / 講師 萩本良秀  

こんにちは。この連載では、自社サイトの中国語版やソーシャルメディアの自社アカウントなどのオウンドメディア活用により、インターネットを通じて台湾人旅行者を集客するための情報発信プロセスや留意点について解説していきます。


台湾人にとって、日本への旅は国内旅行感覚


台湾からの旅行者は、香港と並び極めてリピーターの多い日本ツウです。観光庁の「訪日外国人消費動向調査」によると、2019年1月~3月期に観光目的で来た台湾人旅行者で初めての訪日という人はわずか15.5%で、実に6人に5人以上がリピーターです。その中で今回が10回目以上という人は20.5%もいます。直近1年間に限った過去の訪日回数では1回が25.3%、2回 が16.2%、3回以上が12.0%で、合わせて半分以上が1年に複数回、日本に来ているのです。



彼らにとって日本旅行は、私たちが3連休に国内旅行へ行くような感覚の身近さで、東京に住んでいる日本人より台湾人旅行者のほうが大阪観光について詳しいくらいかも、という前提で考えましょう。


そんな彼ら彼女らには、「渋谷はこんな街」といった総論より、「渋谷に新規オープンのカフェで、必食メニューはコレ」といった、より新しい、具体的な情報のほうが情報ニーズに合うでしょう。


外国語オウンドメディア作成も、日本語版と基本は同じ


日本人向けの広告でもサイトでも同じですが、オウンドメディアを考える際、まず「誰に」(ターゲット)、「何を」(訴求ポイント)、「どう伝える」 (手段や表現)、という基本コンセプトを定めます。商品サービスや接客にも共通する貴社の基本コンセプトを表現、伝達して集客を担うのがオウンドメディアの役割です。ただ、伝える相手の国籍や言語だけが違うだけで、日本語のオウンドメディア構築と同じ基本プロセスを外さないことが大事です。


オウンドメディアの基本


例えば、私がドラッグストア・チェーンのインバウンド・マーケティング担当だとします。店舗にはお客様が順調に増えている一方、店頭での接客時間が増えていて日本人のお客様も含めレジでお待たせする時間が増えているのが課題、とした場合に、


「誰に」=前年比2桁増の台湾や中国からのお客様に

「何を」=店頭での接客効率を改善し各店の売上を上げるために、売れ筋主要商品の説明を

「どう」=自社サイトとSNS自社アカウントに、多言語で具体的情報を掲載


というふうに今年度の方針を書き出し、社内の関連部署とも共通理解として確認を取ります。インバウンドの集客課題は毎年変化するので、できれば翌年度の予算編成をする前など、年に1度はこれを確認したいところです。


口コミサイトや台湾版検索サイトの利用法


まだ台湾人旅行客が多く来ていない、どうやって魅力を伝えて自社の存在を知ってもらおうかという段階の場合は、仮説を立てるための下調べから始めます。


たとえば、旅行クチコミサイトの「トリップアドバイザー」で中国語(繁体字)のレビューが集まっている、近隣の同業者を参考にする方法があります。たとえば、貴社が大阪市外で焼き肉店を経営していたら、大阪市内の人気焼き肉店のレビューを見てみましょう。いくつかの店舗で「大阪でも人気は神戸牛」「中国語メニューがある」という傾向がわかると、それらが自社の情報発信でも有力なキーワードになります。


▲「Yahoo! 奇摩」トップページより


次に、台湾人旅行者がどのように情報に触れているかを見てみます。台湾版の「Yahoo! 奇摩」で旅行者と同じ立場で、「大阪 燒肉」といったキーワードで検索してみましょう。


よっぽど知名度の高い人気店でない限り、英語でも「Osaka things to do」「Shinjuku department store」など、外国人旅行者は固有名詞でなく「エリア+一般表記」でまず検索しますが、同じように自社のエリア名とサービスカテゴリを繁体字で検索してみます。おそらく検索結果には、台湾人が書いた旅行ブログ(部落格)が目立つでしょう。これらを見て、日本ツウの台湾人が台湾人旅行者にどのような店や楽しみ方を指南しているかで、彼らの好みやトレンドがわかります。


▲ 「Yahoo! 奇摩」にて「大阪 燒肉」での検索結果より


中国語の繁体字が読めなくても「グーグル翻訳」などの自動翻訳を使って本文を日本語訳すれば、写真や重要なキーワードで大筋は理解できます。中には、日本のドラッグストアで買える薬など、特定のカテゴリに特化したブログもあります。自社サービスに関連するページはブックマークして、定期的にトレンドをキャッチアップするといいでしょう。


ブロガーたちへの「見られ方」を意識する


外国語でオウンドメディアを初めて作る場合、対象国旅行者の好みに合わせた配色やデザインにするべきか(中国では赤と金色が好まれるらしいと聞いた、など)と考える方もいます。しかし、大切なのは「どう見せるか」よりも「どう見られるか」なのです。


あなたがこれから作るページが、想定されるキーワードで検索された時、現在はどのような情報がターゲットに届いているのかをまず知ることが大事です。


検索結果を何ページ見ても、台湾のブログやメジャーなサイトばかりが上位に来ていて、自社サイトを作っても検索エンジン経由で見てもらえるようになるのは難しい、と実感する方もいるでしょう。しかし、ブログやまとめサイトも、公式サイトへのリンクを一緒に紹介してくれることもあります。そうすることで、営業時間や交通アクセスなど細かいデータまで書かなくても済むからです。


「ウチのサイトができたら、このブログで紹介、リンクされたいな」といったイメージができれば、現在そこで紹介されている同業他社のサイトを見て良い所、悪い所も研究できます。そういった旅行者の情報収集シミュレーションを事前にして、自社メディアを作り始める前に、ターゲットに刺さる自社の訴求ポイントやコンセプトを特定することが、オウンドメディア構築のスタートです。

萩本良秀 Hagimoto Yoshihide


DeepJapan エグゼクティブ・ディレクター


リクルート『ISIZEじゃらん (現じゃらんnet)』『じゃらんガイドブック』編集長、ぴあ『@ぴあ』編集長、ヤフー『Yahoo!ニュース』プロデューサーなどを経て、2013年より数百人の日本在住多国籍メンバーが日本旅行のアドバイスを投稿するサイト「DeepJapan」エグゼクティブ・ディレクターに就任。ほかに関東観光広域連携事業推進協議会メディア・ディレクター、全国通訳案内士 (英語)、国内旅行業務取扱管理者、山梨県観光部公認やまなし大使もつとめる。

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