top of page
  • shikiko7

【第5回】中国語サイト制作は文章の翻訳に加え、HTML内の記述も台湾向けに最適化 / 講師 萩本良秀

自社のビジネスにマッチする、繁体字キーワードでの検索結果表示内容を決める


前回のテーマは、繁体字原稿を制作する際の留意点についてでしたが、今回は、ウェブページの内部、HTMLのソースに記述される情報について書きます。ターゲットとする台湾人旅行者が求めている情報が検索結果でどのように表示されているかをチェック、という連載第1回の内容を、自社のサイトで実行するための具体策ということになります。


HTMLの要素のうち、<title>はブラウザのタブに加えGoogleやYahoo!など検索結果に青文字のタイトルとして、また<description>は検索結果の要約分として表示させる重要な要素、ということは日本語の自社ウェブサイトをご担当の方はご存知と思います。これらの要素について、台湾人旅行者向けビジネスの場合、どういう繁体字キーワードで検索されたときに、どのような自社の内容を表示したいかを考えます。



台湾版「Yahoo! 奇摩」の検索窓に「東京必」と入れてみてください。そうすると、「東京必買」「東京必吃」といったそれに続く候補キーワードが表示されます。これらは、「東京で書うべき」「東京で食べるべき」という意味で、この「地名+必+動詞」は旅行先でのおススメ情報を探す際のお決まりフレーズです。


ただし、これだけでは競合が多く、有力なサイトと競合するビッグワードです。たとえば「東京必吃美食(東京で食べるべきグルメ)」と検索窓に入れると、さらにジャンルやメニュー名などの候補が出てくるので、追加キーワードを加えたり地名を駅名など境域に変えたりして、自社のサービスを検索してもらいたいキーワード組み合わせを絞り込んでいきます。


最終的には、旅行ブログが有利になる「必+動詞」を除いて、「澀谷肉壽司」(渋谷 肉寿司)くらいまでに特定できれば、ライバルの数も少ない検索ワードになります。


大手サイトを手本に、検索ロボット向けだけでなく、読む人向けに表示内容の最適化を


試しに「築地飯店」(築地ホテル)というキーワードで検索してみてください。


その検索結果に出てくる「Booking.com」や「TripAdvisor」といった大手旅行サイトや、「Yahoo!知識+」(日本の「Yahoo! 知恵袋」のようなQ&Aサービス)の検索結果表示分には、「築地市場」というキーワードが含まれています。

▲Yahoo! 奇摩で「築地飯店」を検索した結果

大手サイトは大量のデータを分析して、「築地に来る観光客は市場が目的」というニーズを把握し、そのような関連キーワードを見せたほうが流入も多くなる、ということを学習して実践しているのです。


このようにして想定したキーワード組み合わせで検索結果に並ぶ他社のタイトルや要約文を研究し、複数の有力サイトに共通して書いてある学ぶべき点は真似し、さらに自社ならではの差別化できる特徴を加えて、自社の魅力を表現する文章を考えましょう。


多言語サイト制作の際に、翻訳対応が忘れられがちなmetaデータ項目に注意


このように、検索サイトに表示する自己紹介文のソースとして重要な<title>や<description>も、日本の企業や団体の多言語サイトでは、ブラウザ内で見えるウェブページの文章はすべて翻訳できているのに、そのページのHTMLソース内の<title>や<description>は日本語のまま、あるいは空白になっている、時には中国語の繁体字と簡体字が逆に入っている、といった多言語サイトの不手際を結構見かけます。


それ以外にも、alt属性(画像の説明テキスト)が日本語のまま、アクセス地図や店舗フロアマップといった画像内の文字が日本語のまま、といった例もあります。

こういったサイトは、同じ会社の日本語サイトだときっちりとできているのに、外国語版になるとおろそかになっていることがあります。


日本語サイトでは、ブラウザのタブに表示される<title>の原稿が、第2階層=商品一覧ページだと「カテゴリ名 | サイト名」、その配下の商品詳細ページだと「商品名 | カテゴリ名 | サイト名」ときっちりとページごとに変えてある一方、英語や中国語版だと、どのページでもトップページと同じ表記というケースもあります。


日本語版ウェブサイト(上)を繁体字版にした場合に<title>の変更を忘れた例


このようなケースは、会社や担当者としては日本語サイトで実践できているウェブサイト構築知識や技術があるにも関わらず、外国語版となると制作会社などに任せっきりとなってしまい、チェックの際にカバーできてないということが想像できます。


日本語サイトの制作や運用に関してチェックシートなど普段使っているツールがあれば、それを活用して取り扱う言語の数だけ同じようにチェックすればその大部分は解決します。


SNS投稿のプレビューで最適に表示されているかもチェックを忘れずに


連載第3回で触れたように、訪日旅行者の旅行前の情報源としてSNSが最も利用されています。

FacebookなどのSNSでウェブページを紹介する、あるいは誰かにシェアしてもらった際に、投稿にはサイトのタイトルや画像のプレビューが自動で表示されますが、詳細ページをシェアしているのにトップページ用の全般的な内容しか表示されない、といったことがあります。


このような場合の対策としては、Open Graph Protcol(OPG)の設定をするのですが、Facebookの場合だと「facebook for developers」という開発者向けサイトの「ウェブ管理者向けシェア機能ガイド」など、各社サービスごとに具体的な手順が公開されています。これも、日本語Facebookページを運用している時と同じ対策をするということですから、中国語や多言語でオンライン発信する際は、日本語版では行っているのと同じ手順や対策を、怠らずに実施することが大切と言えるでしょう。

 

萩本良秀 Hagimoto Yoshihide

DeepJapan エグゼクティブ・ディレクター

リクルート『ISIZEじゃらん (現じゃらんnet)』『じゃらんガイドブック』編集長、ぴあ『@ぴあ』編集長、ヤフー『Yahoo!ニュース』プロデューサーなどを経て、2013年より数百人の日本在住多国籍メンバーが日本旅行のアドバイスを投稿するサイト「DeepJapan」エグゼクティブ・ディレクターに就任。ほかに関東観光広域連携事業推進協議会メディア・ディレクター、全国通訳案内士 (英語)、国内旅行業務取扱管理者、山梨県観光部公認やまなし大使もつとめる。


bottom of page