- shikiko7
【百威旅行社】広告費に月600万元を投じ、200本近いツアー商品造成を目指す

廖 培全(リャオ ペイチュアン)
サイモン さん
日本線協理
旅行会社での経験は25年、営業から始まり、以来日本線を担当している。日本へは仕事で50回以上、北海道から沖縄までほとんどの地域へ足を運んだ。5年前より百威旅行社に移り、現職。
――ホールセラーでもある御社ですが、ツアーに参加するお客様はどういう割合ですか?
弊社に直接お申込みされるお客様が8割、同業他社からが2割ですね。同じツアーに参加しても、申し込んだ会社によって値段や特典が違う場合もありますが、弊社ではすべてのお客様に同じサービスを提供しています。
――そのサービスとはどんなものなのでしょう?
たとえばポケットWi-Fiや、特定の場所での音声ガイドのご提供です。それからミネラルウォーターを車内にご用意しています。これは意外とコストがかかるのですが、ほとんどの車でお配りしています。
でも何より特徴的なのが、旅程表です。その日のスケジュールはもちろん、観光スポットの見どころ、平均気温と時期にあった服装、温泉に入るならその注意点など役立つ情報を盛り込んだ50ページほどのものをみなさんに差し上げています。
――カラーで印刷して製本もされていて、立派なものですね
ええ。メモができるスペースもとっています。旅行から帰って3年、5年、10年たっても、この旅程表を開いたら思い出がよみがえるでしょう。これ自体も記念のひとつになるのです。こういった面に弊社はコストをかけています。
こうしたものをご用意していますので、弊社の商品は基本的に相場よりも2000~3000元ほど高めです。

▲【手前】ツアー参加者に配られるパンフレット。台湾では水着着用の温泉が主流のため、入浴の方法や効能を解説するページ【奥】インセンティブツアーでも内容の濃いパンフレットを用意(写真はサンプル)
――では、日本商品はどのような価格帯になるのですか?

沖縄は東南アジア部門が担当しています。
昨年からはさらに高価格帯のツアーも作りました。クルーズや欧米線のご利用経験のあるアッパークラスの方へ向けたもので、ホテルや食事のグレードを上げ、たとえば5日間6~8万元(約21万4,000~28万5,000円)のツアーをご用意しています。
――ツアーの内容はどのように企画されるんですか?
基本的に日本線専門のベテラン5人が企画に関わっています。何よりも重視しているのが「市場の流行」ですね。そしてこの場所は行く価値があるのか、どれくらいの滞在時間がかかるのか、移動ルートなどを考慮しながら組み立てていきます。
情報源は、日本から弊社へお越しになった方や商談会、ツアーガイド、そしてインターネットです。
――商談会はどういう点が役立ちますか?また商談会へのリクエストはありますか?
商談会での観光スポット紹介や、価格を知れることは大きいです。でも台湾側からの参加者が多いので、日本の方から詳しく話を聞きだす時間がないのが残念です。深く知ろうと思うと、商談会後に改めてアポイントを取らなければなりません。
また、商談会の後に食事会があることもありますが、これは必要とは言い切れませんね。費用も掛かりますし。それよりも、商談会で手に入れた情報を持って、関係者に電話をしたりお目にかかるなどして交流することのほうが大切だと思います。一緒に仕事をするなら、やはり顔を合わせないと。
――そうした打ち合わせなどで、まずほしい情報とはどんなものでしょう?
地図や値段などの資料はとても欲しています。独自に企画された外国人向けのセットチケットなどもあれば、どのようにツアーへ組み込むかを私どもが考えます。
それから、「相撲」と「祭り」の情報です。相撲に興味を持っているお客様も、実はルールがよくわかっていないことが多いんですよね。もしルールを説明していただける方法があれば、私どもとしては大変ありがたいです。
――「祭り」についてはどんな状況ですか?
日本の祭りに参加したくても、意外と難しいんです。祭りの時期は観光客が増えるので、ホテルが取れない、駐車場も確保できない、団体で移動しにくいなどの問題があるからです。
――日本が協力してそうした問題点を解消し、台湾の団体客が祭りに参加できることを望まれているということなんですね
そうですね。本当にたくさんのお客様が、日本の祭りに興味を持っています。東京の花火大会や、札幌の雪まつりなど大きなものは、弊社ですでに手配はしているんですが……。地方での有名な祭りについては、台湾人はあまり知らないんです。でも日本全国どこにでも祭りはありますよね?そうした地方の比較的規模の大きい祭りについて、由来も含めて知ることができたら、日本旅行を選ぶ台湾人がもっと増えるかもしれません。
――旅行商品のセールスはどのように展開されているのでしょう?
弊社は毎月600万元(約2,140万円)を、広告にかけています。主にYahoo!奇摩とGoogleへのリスティング広告、そしてFacebook。そのほかLINEやSMS、弊社のアプリを利用して、割引サービスなどを提供しています。広告費用のほとんどをネット関連に費やしています。
――お客様はおいくつくらいですか?会社が20年近く続いていると常連の方も多そうですよね
メインは30~50代ですが、70代までいらっしゃいますね。
――年齢層が高いと、インターネットやSNSなどの広告の効果はいかがですか?
30~50代はネットでの情報収集が一般的ですが、それ以上の年齢のネットになじみのない方も、ご家族に頼んでウェブサイトに目を通していらっしゃいます。
今やツアーの比較はネット上で行うのが一般的になりました。みなさん値段だけではなく、内容の部分までしっかりご覧になっています。バカンスや観光、ショッピングなど日本へ旅行するさまざまな目的をもったお客様に向けて、ツアーのスケジュール詳細、移動時間、観光スポットの入場料、列車利用の場合は乗降時間まで弊社のウェブサイトでは詳しく掲載しています。

▲百威旅行社のホームページより
――日本旅行を吟味されるお客様に今後広めたい、日本の注目エリアはどこでしょうか?
全日本に注目しているんですが(笑)、ポテンシャルが高いと私が感じているのは山陰山陽、そして中国地方ですね。現在では就航路線が少ないので、まだ知られていない観光資源が眠っていると思います。
――就航路線が少ないこと注目エリアは、どう関係しているんですか?
いまは大きい都市には定期便が飛んでいますよね。地方都市への便もこれから増えていくかもしれません。北九州―台北(桃園)は、2018年にスターフライヤーが始めた路線です。エバー航空も一時取りやめていた名古屋線を復活させました。2019年は航空会社は東北にかなり力を入れて、青森には直行便、秋田へはチャーター便が飛びました。
航空会社と就航路線は、旅行会社に大きな影響があります。なぜなら、新しい路線が就航されてから、その地区の商品を企画するからです。
そういう観点から、便が少なく、どの旅行会社もまだ積極的には開発していない山陰山陽、中国地方に可能性を感じているんです。
――日本への就航路線が拡大していくなか、今後、日本旅行ツアーにどのように取り組んでいこうと思われますか?
日本線の数をもっと増やしていきたいですね。現状、弊社が請け負っている団体旅行は毎月50~80グループです。お客様からはスポーツ、日本人との交流など、今までになかったご希望がどんどん増えています。私たちもそれに対応して、倍以上の数のツアーをつくっていこうと思います。
この旅行会社へのコンタクトについては NEXT T.C. まで

百威旅行社
1999年創立。日本線のみならず、北米、東南アジアにも力を入れ、クルーズ商品も取り扱う。日本へのツアーに参加した顧客に対し、他の国へのツアーにも参加してもらうことを重視している。「経営の永続」を理念とし、「品質保持、完璧の追求」を経営方針とする。