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  • shikiko7

「インスタのスポット検索で情報収集」が、台湾の若者のスタイルです / 【第4回】アイビー

日本と台湾とをつなぐ架け橋として、日本に住み、活躍する各界の台湾人に、「台湾人が喜ぶ日本観光」について語っていただくインタビュー連載。第4回は、台湾女子4人で結成した「4foodie」のインスタグラムで台湾・日本・アメリカのグルメを紹介、今や約35万人ものフォロワーを持つ、インスタグラマーのアイビーさんです。


アイビー Ivy

インスタグラマー

1995年台北市生まれ。2014年に来日し、早稲田大学国際教養学部の留学生として、主に日本と世界の歴史を学んだ。卒業後は日本で台湾向けの広告代理店に勤務中。2015年9月、台湾在住のAva、Emily、アメリカ在住のVictoriaとインスタグラムアカウント「4foodie」を立ち上げ、台日米3ヶ国のグルメ紹介を開始。2019年12月時点のフォロワー数は34万8000人に及び、グルメの紹介のほか、店とコラボレーションして限定メニューの開発も行っている。さらに2019年11月には台北市で「4foodie」初のグルメマーケットを主催し、数千人以上の人が来場するなど、台湾屈指の影響力を持つグルメインスタグラマーとして活躍している。


20代の友人たちの日本旅行は、グルメが目当て。寿司の本場の味は格別


――アイビーさんが初めて日本へ旅行にいらしたのはいつですか?


アイビー:元々両親が日本好きだったものですから、私が小学校4年生のころから、日本には毎年家族でスキーをしに来ていました。最初はたしか、北海道のクラブメッドのスキーレッスンを受けたんですが、言葉が英語だったのでちょっと難しくて。なので、台湾のスキー協会が主催した台湾人のスキーコーチ随行型のツアーに家族で参加して、スキーを習いました。その後は個人旅行の形で来ています。今では家族全員、上級コースを滑りますよ。


――すごいですね。じゃあ年1回の日本旅行はいつも冬だったんですか。


アイビー:当時はスキーのために来ていたので、圧倒的に冬が多かったですね。場所としては北海道が一番多くて、長野仙台などへも行きました。リゾートホテルは館内で食事もできますし、移動日以外はひたすらスキーをする感じです。スキーは台湾ではできない体験ですから。


そんな日本好きの父がすすめてくれた部分もあって、高校卒業後に日本での大学進学を決めました。

▲19歳で留学した母校、早稲田大学を久しぶりに訪ねて

――ご家族みなさんにとって日本は昔から身近な場所なんですね。日本は、旅行先としてどんな魅力があるんでしょうか?


アイビー:スキーもそうですが、やはり日本でしかできない体験ができることだと思います。台湾はごちゃごちゃしていますが、日本は街に清潔感があって、歩いているだけでも楽しいです。あとは食べ物ですよね。


最近ですと、私と同世代の友人たちはグルメ目当てで日本に来ている人が多いです。台湾では最近まで食べられなかった和牛とか、お寿司とか。台湾にも回転寿司はありますが、日本の寿司職人が握った寿司は全然違うんだそうです。親世代(50代)なら……絶景を求めて、という印象です。加えて、着物を着るとか、スキーとか、日本ならではの体験をしたいようですね。



5年前に私が日本に来てから、父は年3回は日本に来るようになりました。父、母、弟妹がそれぞれ別々にやってくるので、しょっちゅう家族に会っている気がします。


――それは、異国で生活している家族を心配して……。


アイビー:いえ、日本には遊びに来ていますよ(笑)。私は、学生だったり仕事があったりで毎回一緒に旅行についていけるわけではないので、それぞれにいろいろと旅を楽しんでいるようです。日本旅行については、家族や友人・知人から3ヶ月に1回は連絡がきているんじゃないでしょうか。


――日本旅行についてのアドバイスを求められるんですか?


アイビー:質問よりも、頼まれごとが多いです。特にレストランの予約と、薬や化粧品の買い物ですね。台湾でも日本の薬や化粧品は買えますが、現地で買うほうが安いので。もちろん、おすすめスポットも訊かれますが。あとは、今の気温や天気とか。


仲良し4人で始めた3ヶ国グルメのインスタが一躍有名に。旅行の相談にも気軽に応じる


――インスタグラム(以下、インスタ)「4foodie」は、どういうきっかけで始められたんですか?


アイビー:「4foodie」は、私が日本に留学して1年後の2015年に生まれました。ある日、私と妹、小学校の同級生だった仲良しの友人ふたりと食べ物の話で盛り上がって、一緒に食事に行った時にスマホで写真を撮ったのが始まりです。4人のうち、私は日本に、私の妹はアメリカにいるので、台湾・日本・アメリカで食べたものを載せるアカウントになりました。

▲インスタグラム「4foodie」https://www.instagram.com/4foodie/ 日本の飲食店の写真だけを見る場合はハッシュタグ「#4foodieinjapan」で検索

当初はインフルエンサーになろうなどという考えはまったくなくて、趣味としてのんびりやっていたんです。でも、投稿を始めてから半年後に、「4foodie」が台湾のメディアで紹介されたことで一気にバズり、フォロワーがいきなり10万人規模で増えて、本当に驚きました。パニックになりながらも、じゃあもっとがんばってやろう!という話になって。その後、徐々にメニュー開発などの仕事の依頼が入ってきたりするようにもなりました。

――「4foodie」を見ると、まさに「インスタ映え」な写真が並んでいますが、みなさん写真はお好きだったんですか?


アイビー:いえいえ、まったく素人でした。4人で話しあって文字入れのルールなどを決めたり、見栄えの良い写真にするための技術を試行錯誤したりしています。食べ物のきれいな写真にはライティングが大事なので、本格的なライトを全員買ったりとか。まあ、日本のレストランだとライトを点けて写真を撮るのはかなりの割合で店員さんに止められてしまうんですけど。


最初の頃は自分たちが食べたものの写真を載せるだけでしたが、フォロワーからの意見や要望を取り入れて、お店の情報や評価なども載せる、今の形になりました。

▲写真だけでなく、店名・所在地・営業時間などの情報と、味・サービス・店内の清潔度・リピート意欲などを星で評価

――「4foodie」のフォロワーから、日本旅行についての質問が来たりもしますか?


アイビー:はい。台湾への質問が一番多いんですが、日本のグルメや観光情報についての問い合わせは、月1~2件くらい、ダイレクトメッセージが来ますね。日本関係で一番多い質問は「焼肉のおすすめ店」です。


掲載写真のお店への行き方を訊かれた時はGoogle Mapで調べたものを返信してあげたり、自分があまり行ったことのない場所について訊かれたら、「食べログ」で調べて教えてあげたりすることもあります。


――フォロワーとも気軽に直接のコミュニケーションを取っているんですね。

アイビー:そうですね、コメント欄やメッセージで気軽にやりとりしています。私がすすめたお店に行った人が、またそこの写真をインスタでシェアしてくれたりすると嬉しくなります。

▲時には料理を作る工程も披露。煙がのぼるなど動きのあるものは、動画も使用する

私は、自分が行ったほぼすべてのグルメ写真をインスタに載せているので、なかには自分としてはあまり評価の高くないお店や料理もあるんです。でも、自分が高評価をつけたお店が必ずしもウケるわけではなかったり、自分は今ひとつだと思った料理をフォロワーさんが絶賛したり、意見の違いがいろいろ見えて面白いです。

インスタのスポット検索なら、鮮度の高い情報が得られる


――アイビーさんが訪れる飲食店や旅行先の情報は、どのように探しているんですか?


アイビー:飲食店情報なら、インスタと「食べログ」です。まず行きたいお店をスポット検索します。そうすると、食べ物の写真がたくさん出てくるので、ああ、この料理が人気なんだなとわかるわけです。その後、食べログで口コミを確認します。台湾の人気グルメ店も同じようにスポット検索で調べられるので、台湾の若者にとっては手慣れた方法です。


観光地もインスタで調べます。色々なタイプの写真が出てくるので、気になった写真をクリックして詳細を見ます。文字情報だけだとイメージがつかめないけれど、写真ならよくわかるじゃないですか。

▲「河口湖」でスポット検索した結果(左)と、タグ付された投稿記事を、最新順に並べたもの(右)。投稿者のコメントから、2019年12月9日には河口湖周辺で紅葉が見られたことがわかる

インスタは複数の言葉を組み合わせた検索ができないので、行きたい場所がはっきりしているときに便利ですね。


――他にはどんなSNSを使っていますか。


アイビー:旅の情報収集ならTwitterですね。Facebookはあまり使いません。Google検索をすることもありますが、出てくる情報には古いものも含まれていますよね。


インスタなら、検索結果を新しい順に並べることができるので、情報の鮮度が高いんですよ。


たとえば、旅行情報サイトに「京都の桜は4月上旬」と書いてあっても、明日行く場所で本当に咲いているかはわかりません。でも、インスタで検索すれば、リアルタイムでその場所の桜の写真が見られます。実際の写真を見て確実に「咲いている」「咲いていない」ことを判断できるんです。ですから、日本に着いた後にインスタでスポット検索して、今その地域のどこの桜が見頃なのかを写真で確認して、そこに行けばいいのです。紅葉でも同じです。

気に入った場所には何度も足を運ぶ。今は神社めぐりと御朱印集めにハマり中


――アイビーさんが最近よく行く旅行先や、お気に入りを教えてください。


アイビー:私は結構グルメ目当ての旅行が多いかもしれません。あと、一度気に入った場所には何回も行くタイプです。例えば、去年は3回福岡に行きましたけど、うち2回は純粋に豚骨ラーメンを食べるために行きました(笑)。


それから、先日家族が来た時には、前から行きたかった「うさぎ島」(広島県竹原市・大久野島)にも行きました。癒やされましたよ。

▲900羽を超えるうさぎが生息する「うさぎ島」こと大久野島

最近一番ハマっているのは、神社めぐりと御朱印集めです。神社は日本ならではの風景ですし、着物を着て写真を撮ったりするのにもいい場所です。御朱印は、御利益を求める方法として興味深いなあと思って始めました。

▲東京・浅草の銀杏岡八幡神社で、初めて手にした御朱印帳と記念撮影

京都は大好きで、もう何度も行っています。今年の夏には初めて一人で行って、友達に気兼ねしなくていい一人旅の楽しさに目覚めましたね。岡崎神社、八坂庚申堂、車折神社など台湾人にはまだあまり知られていない寺社を回ったので、観光客も少なくて快適でした。今では、どの地方に行った時も必ず現地の有名な神社には行くようにしています。次に一番行きたいのは島根の出雲大社です。


日本に暮らして、友人やインスタのフォロワーさんから訊かれることが増えて、ずっと同じ場所やお店をおすすめするのもどうかなと、最近は新しいスポットの開拓も積極的にするようになりました。まだ行ったことがない場所がたくさんあるので、いろいろ行ってみたいです。


文・撮影 松浦優子


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