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【協益旅行社】食事は1食2,000円以上。高価でも上質なツアーで、中高年のリピーターは4割

鄭 偉宏(ジョン ウェイホン)
ペーター さん
日本線部長
入社10年、日本線は旅行手配から担当して7年になる。特に北陸への造詣が深い。2014年より現職。
――日本旅行について、御社の特徴はどんな点ですか?
なんといっても、「食事」です。価格競争に打ち勝つために、質を落とす会社もあります。ですが、弊社は中位レベル以上を維持しています。
通常の団体ツアーのランチは平均1,500円くらいですが、我々は2,000円以上の食事を提供しています。素材のレベルを上げて、日本の本当に美味しい味の盛り込まれた特別メニューを用意します。そして、旅行中に1食だけ、さらにスペシャルな内容にする。もしすべての食事が高品質だった場合、お客様はそれが普通だと思ってしまい、感動がありません。それに、現実的に旅行商品の価格も高くなりすぎてしまいます。ですので、そのグレードアップした1食を、当社の特色として、できる限りアピールするようにしています。
それから、ツアーバスは、現地のバス会社と提携をしています。
――バス会社と、直接やり取りをしているということですか?
そうです。多くの団体ツアーでは、免税店などが提供するバスを利用しています。そうするとバスのレンタル料金は無料になりますが、必ず免税店に立ち寄ることになります。せっかく日本へ観光に来たのに、バスガイドは社内で薬や化粧品の紹介ばかり。そしてショッピングエリアばかりに立ち寄られては、お客様は満足できませんよね。
日本でバスを貸し切ると、無料バスと比べて、旅行代金にひとりあたり約3,000元(約1万円)高くなってしまいます。でも、お客様に日本を満喫していただくために、今まで無料バスを使うということは決してありませんでした。
――それほどまでの品質を保つために、どんなことをされていますか?
鳳凰、良友、巨匠(凱旋)、東森、そして弊社の5つの旅行会社が業務提携を結び、ツアーを共につくっています。ほかの旅行社連盟との違いは、私たちはクオリティを追求しているという点です。「旗艦東瀛(チージェンドンイン)」と名付けたシリーズでは、安さ重視ではなく、上質な行程をお届けしています。そのために、我々は1~2カ月に一度、会議を開いてツアー参加者の反応などの情報交換を行い、強化すべき点、改善点について話し合っています。私たちのツアーは平均4万元(約14万円)で、他社に比べて2万元(約7万円)もの差がありますが、それでも戻ってきてくださるお客様はちゃんといてくださいます。
――品質へのこだわりが、リピーターを呼ぶ理由なんですね。
リピーターのお客様は4割ほどです。お知り合いをご紹介くださることも、とても多いですね。
弊社では8月の「東北五大祭り(盛岡さんさ踊り、青森ねぶた祭り、秋田竿燈祭り、山形花笠まつり、仙台七夕まつり)」の商品を、毎年打ち出しています。祭り見物の席は、半年前から確保しています。弊社と東北の関係者との関係はとても緊密ですので、それが可能なのです。
1~2月に開催される「白川郷ライトアップ」も、事前に参加予約をしています。毎年参加してきたという実績があるので、ちゃんと枠を確保しておいていただけます。2020年のこのツアー商品の募集は、ほぼ終わっています。
こうした積み重ねで、お客様は「東北五大祭りなら」「ライトアップを見るなら、スコープ(三多旅遊)」というイメージを持ってくださっています。
――日本へのツアー旅行商品の販売価格帯を教えてください。

季節によって価格が大きく変わるエリアがあります。北海道なら雪まつりのある北海道、黒部立山アルペンルートのある4~5月の北陸・中部などです。
いっぽう、関東には季節の影響はあまりありません。東京ディズニーランドやシーができたころと違い、実は今では私たちは特にプッシュすべき点を見つけることができないのです。ですので、お客様のご要望に応じてアレンジするという形です。
――九州や沖縄が「要問合せ」なのはなぜですか?
弊社はLCCではなく、キャセイパシフィック航空やチャイナエアライン、エバー航空などのレガシーキャリアを使用しています。ターゲットとするお客様は、LCCを利用する層とは違うからです。4万元(約14万円)もするツアーなのにLCCに乗るというのは、お客様を不快にさせることです。
九州へは弊社はキャセイパシフィック航空を使用しますが、フライト時間の関係で、九州に夜着、戻りの台湾には朝着となります。そのため、5日間の行程でも、実質3日間しかないのです。こうした理由から、あまり積極的には打ち出していません。
沖縄にはLCCが多く就航し、値引き合戦のなか、かなりの低価格になっています。またクルーズもあります。クルーズが多い場合も、価格が抑えられてしまうんです。他社と同じような価格帯では、特色を出し、魅力を感じていただけるツアー内容にすることは困難です。
ですので、九州も沖縄も、お客様からのお問い合わせがあった場合のみ、オーダーメイドでアレンジしています。
――日本ツアー販売のために、どのようにPRされていますか?
キーワード広告(リスティング広告)を使用したり、外部の会社に委託してウェブマーケティング(YouTubeへの広告など)を行っています。やはり、インターネットを通じた宣伝広告が主ですね。
――ツアーの価格を高く設定されているので、お客様の年齢層も高いのではないでしょうか。その場合も、インターネットでの宣伝は効果がありますか?
たしかに、弊社のお客様は40歳以上が多いです。そういう世代には、先ほども申し上げましたが、紹介、つまり口コミもとても影響力があります。台湾中部の彰化、南投、高雄などにリピーターが多いのが特徴です。年配のお客様が多いので、人情味があり、だから何度も弊社をご利用くださるのかもしれません。
――今後、どのような日本ツアー商品を予定されていますか?
季節性が関連する部分を、より強化していきたいと考えています。そして上質であることは絶対ですね。多少お金がかかっても、「やっぱり三多じゃなければ」とお客さんに帰ってきていただけるよう、努めていきたいと思います。
この旅行会社へのコンタクトについては NEXT T.C. まで

協益旅行社
1980年創業。当初は「泰星旅行社」の名でスタートしたが、日本への送客に力を入れて業務を拡大するにあたり、’90年に「協益旅行社」に改める。ツアーブランドは「三多旅遊(スコープツアー)」。数十万人の台湾人旅行客を日本へと導いてきた。インセンティブツアーの扱いが比較的多い。