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【第1回】『プレ旅行前』に、SNSを効果的に利用した店舗 / 講師 田熊力也

旅行者のタイミングを見誤るな!


インバウンド事業を始めるにあたり、まず頭に入れていただきたいのが、旅行は『プレ旅行前』『旅行前』『旅行中』『旅行後』の4つのカテゴリーに分けられるということ。


観光客誘致のために用意したコンテンツやサービスが、どの段階のニーズに当てはまるのか、これを見誤るとまったく意味がありません。逆に、正しく認識しておけば効果は上がるということです。 では『プレ旅行前』『旅行前』『旅行中』『旅行後』とはどういうことなのか。旅行者の精神状態や、どんなコンテンツやサービスが、どの段階に当てはまるのか?全国の自治体や企業が取り組んできた、具体的な事例をもとに今後紹介していきたいと思います。


2019年のラグビーワールドカップ、2020年のオリンピックを見据えた“今”とは?


さて、2019年10月現在はどの段階なのでしょう?


目下、インバウンドにおけるビッグチャンスである「ラグビーワールドカップ」と「オリンピック・パラリンピック」が待ち構えています。


▲建設中のオリンピックスタジアム(新国立競技場)


今年開催のラグビーワールドカップでは40万人が、来年開催のオリンピックでは1000万人が来日すると言われています。この期間のインバウンド需要を見込み、さまざまな施策が取られていますし、多くの人がこの2大大会をインバウンドのピークと考えています。


しかし、それは大きな間違い。大会終了後こそ、インバウンド需要が本格的になっていくのです。つまり、これからインバウンド対策を始めたいという自治体や企業にとって、この期間はまたとない準備期間なのです。


その理由は、テレビやメディアなどで観戦されるから。


ラグビーワールドカップ、オリンピックをテレビやインターネットで観戦する人は全世界でそれぞれ40億人と試算されています。ほかにもさまざまなメディアを通して、“JAPAN”を知ることになります。


JAPANという単語は知っていても、世界で「日本」を知っている人は実はまだ少ないのです。ふたつのイベントの開始前、大会期間中、そして終わってから、海の向こうで何度もJAPANを耳にし、目にするでしょう。それによって、京都や富士山といった表面的な日本しか知らなかった人たちに、メディアを通じて様々な歴史や文化を知り、日本への興味を抱き、いつか「日本に行ってみたい」という気持ちにさせるのです。


つまり今は日本への興味の種蒔きタイム――『プレ旅行前』なのです。その種撒きの方法として、多くの自治体や企業が取り入れているSNSの活用例を、少し見てみましょう。


言語の種類でなく、積極的な発信をする企業の好例


「外国人に人気の日本の体験・ツアー ランキング2019」で第1位に輝いている「アキバフクロウ」は、フクロウに会えるカフェとして2014年にオープンしました。完全予約・少人数制で、メンフクロウやアナホリフクロウなど多種類のフクロウと遊ぶことができます。



▲トリップアドバイザー内の「外国人に人気の日本の体験・ツアー ランキング 2019」より


こちらの公式HPでは、英語・フランス語・中国語(簡体字)に対応しています。JR秋葉原駅からのアクセスも、各言語と写真で詳細に解説され、迷うことはありません。


そしてFacebook、Instagram、Twitterの公式アカウントも開設しており、Facebookに投稿すればInstagramとTwitterでも投稿が連動する仕組みを持っています。投稿文は基本は日本語で、フクロウの可愛い写真とともにほぼ毎日更新。公式サイトには載っていない新鮮な投稿に対する反応の多くは、英語やそのほかの外国語で書かれています。こうした口コミが拡散し、世界中から集客のきっかけをつくっているのです。


訪日中国人の集客に注力しているのが、寿司・日本料理店「がんこ」を全国的に展開している「がんこフードサービス」です。こちらも公式HPでは英語・韓国語・中国語(簡体字)のページを用意しています。そして、訪日中国人の集客を狙い、中国版Twitterという位置づけの「Weibo(微博)」で、各店舗の情報を中国語と、写真で積極的に発信しています。特にこちらは、料理だけでなく、外観や店内など、写真を複数枚アップしています。


▲weiboのがんこのページより


中国ではGoogle検索や、Facebook、Twitter、LINEを利用できません。そのため中国人観光客の誘致を狙うのであれば、中国独自のSNSが外せません。Weiboは、中国独自で進化を遂げたSNSとして有名です。月間アクティブユーザー数は、2018年では約4億6200万人という影響力を誇ります。


中国では模造品が多く、それは品物以外の情報でも同じです。だからこそ、Weiboが大衆の支持を得た理由が「公式アカウント」。一般ユーザーのアカウントと違い、公式アカウントを取得する場合は、厳しい審査をクリアしなければなりません。企業の場合は、登記簿謄本、商標登録証明書、誓約書、担当者名刺ほかいろいろな書類の提出が求められます。そうした手順を経て認められたからこそ、アカウント名の横に「V」マークがついた公式の記事には、信頼が集まっています。がんこも公式アカウントです。


ちなみに、著名人などの個人公式アカウント申請にも、印鑑証明書や在職証明書などが必要です。現在では日本の有名人(木村拓哉、渡辺直美、株式会社ZOZO前澤友作元取締役社長など)もWeibo公式アカウントを取得し、中国人向けに情報発信を行っています。


このように、集客を狙う国によって、どのSNSを利用するかも重要です。台湾ではFacebookの利用者が約1900万人で、全人口の80%近くが利用しています。Weiboはあまり使われていません。


台湾でよく使われるSNS


SNS上でターゲットの言語を使うことも効果的ですが、日本語をそのまま翻訳するだけでは意味がありません。活字に注力するよりも、まずは写真を載せ、何ができるのか、何が特別なのかを「積極的にPR」します。そうして、たくさんの方にその記事を話題にして、拡散してもらう可能性を増やすことが大切なのだと、この2社の例からもわかります。『プレ旅行前』の最重要課題は、旅先に日本をピックアップしてもらうこと、そして自分が所属する観光地や店、施設などを旅程に組み込んでもらうことにあるのです。


日本への興味の種を発芽させるため、インバウンド事業に取り組む自治体や企業はどんな水を撒いたのか、また撒こうとしているのか。次回からさらに詳しく説明していきます。


構成 小泉庸子


田熊力也 Takuma Rikiya


株式会社mov(訪日ラボ)インバウンド研究室 室長


1977年、東京都渋谷区生まれ。海外専門旅行会社で勤務の後、大手家電量販店、ビックカメラに就職。2013年にインバウンド部署を立ち上げ、免税売上を2014年に約35億円、2015年には約400億円と伸ばした。その後、 百貨店や商業施設などのコンサルタントを経て、インバウンド対策の専門ニュースサイト、訪日ラボのインバウンド研究室の室長に就任。日本の観光活性化のために、インバウンド情報のさまざまな形での普及に努める。 訪日ラボ https://honichi.com/

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